身長が一ミリも伸びなくなった
体重は少し増えて
年齢はひとつ増えた
文章をかかなくなった代わりに
人の話を聞くことが好きになった
いろんな人がいることを知った
しょうがないで済ませないと
いけないことも沢山あるし
興味ない 知らないじゃ
許されないことも沢山あるらしい
 
嫌いなものが増える代わりに
好きなものがより好きになる
これって、いいこと?
嫌いを作らないと
好きなことに気が付かないし
終わりが近付かないと
大切だったことに気が付かない
これは何年経っても同じこと

12月の頭頃から
お正月用のデコメをネットで探してきて
完璧に可愛いメール作って
年が変わるのを待ちわびてたのに
0時になったらメールサーバーパンクしたり
機種依存の絵文字が文字化けしてたり
アドレス変わってて何通か戻ってきたり
普段送れない人とそれきっかけで
メールするようになったりさ
そういうドキドキがもっとそこら中に
あったのに
便利になったらなったで
文句言われちゃうんだから
いつまでたっても報われない

はやく全部が大丈夫になって
安心して 終わればいいな




高校生と永遠のこと



『終わりがあるから楽しいんだよ』
学校からの帰り道
卒業したくないと嘆く僕に彼女は言った
吐く息は白くて空気はツンと冷たい
駅のホームで別れ、
彼女は反対側のホームに向う
僕は肩に掛けたエナメルバッグを
地面に置き、ベンチに座った
こんなに寒いのにあと15分も電車が来ない

『永遠なんてどこにも無いよ』
前もこんなことを言っていた
彼女はいつだって
終わりの準備をしていて
終わる事を当然のように受け入れる
『永遠に高校生でいたい』と
心の底から思っていた僕は
そんな自分が少し恥ずかしくなって
あの時から彼女が急に大人に見えた

手が悴んできた頃、ようやく電車が来た
この時間帯の電車には帰路につく
サラリーマン達がたくさん乗っている
僕もいつかこのうちの一人になるのかと考えると、やっぱり永遠に高校生でいたいと思ってしまうが、
これは単なる逃げだと知っている
それに、永遠が本当に存在するだなんて
思っている訳ではない
今までだって始まったものはちゃんと全部終わってきたし、いずれ人間は死ぬ
でも僕はまだ、『永遠』という言葉に縋りたい
『永遠』という言葉を作った人間だって
絶対に無い『永遠』に
その言葉に縋りたかっただけなのだ
最寄駅に着くまでの30分間、
ぼんやりとそんなことを考えていた

この頃の僕は
次々と将来を決めていく友達に
自分だけ置いていかれるような
焦燥感と不安で押しつぶされそうだった
数えきれない未来から、どうしてそれを選んだのかを全員に聞いて回りたかった
自分が走って追いつくのではなく
みんなに止まって待っていてほしい
手をつないでみんなで一等賞を取りたい
いま同じ教室にいるのだって
ここにいることを決められているからで
チャイムが鳴って扉が開けば
足早とみんながそれぞれの目的に向かう
パタパタと音を立てて居なくなるのだ
第一ボタンまでしっかり留めたシャツも
学生手帳もこの制服も窮屈なルールも
もうすぐ何の意味も成さなくなる
彼女との帰り道も数えるほどしかない
そのことが堪らなく寂しいし
みんなにもそうであってほしいと思ってしまう

一刻一刻終わりに近付いていることも
『永遠』が無いのことも知っている
ただ、『終わりがあるから楽しい』と言った彼女に、僕との毎日が、高校生活が、永遠に続けばと思ったことが一度でもあったらそれでいい
家に着き冷たい手をお湯で解きながら
ふとそう思った




背負い込む必要なんてないよだって助けられないもん


完成より未完成が綺麗だったり
完璧より不揃いに安心したり
完全より不完全が可愛かったり
勝ちより負けに感動したり
清潔感より生活感にキュンとしたり
するんでしょ、それならもう
正解だけを教えてほしい
そうしたら
君の一番をとる為に
毎日一生懸命になれるのに
みんな平気で好き勝手できるのに
いらない気を遣って
ひとつひとつを気にして傷付くし
狭い正方形の中を小走りで
行ったり来たりして
遠くになんて全然行けない
なのに
同じところをウロウロしているだけ
っていうことにすら気が付けない
悲しい
安心の約束がほしい
不老不死になってほしい
私じゃなくて、君に
当たり前が無くなった時
私は何を思うんだろう
君の当たり前が無くなった時の
顔がみたい
楽しいことじゃない
悲しいことを一緒にしたい








冗談のつもりだった

 

夏と秋が交互に出てきて

そのうちすぐに寒いねなんて言い合う

今年の夏をクローゼットに入れて

慌てて去年の冬を引っ張りだす

いつでも悪意が善意に余裕で勝って

画面を挟めばいくらでも殴れるし

本当のことなんて対して重要じゃない

みんなだってそうしてる

冗談のつもりだった、そっちが悪い

画面を挟んで得る無敵

即席の愛情、即席の恋人、即席のラーメン

便利と器用さが悲しくさせるなら

不便で不器用のほうがずっといい

 

 

 

 

 

 


待ちに待ったちゃおの発売日に
近所のコンビニに買いに走っていた
あの頃からもう何回の夏だろう
プールの授業が嫌で
生徒手帳に友達が親の字を真似て
見学の意を書いてくれていた夏
水筒の氷だけが涼しい音を立てて
嫌だと思いながらそれでも毎日
部活に向かっていた夏
制汗剤の匂いにこだわった夏
音楽のフェスに行くことが
一番の楽しみになっていた夏
体育祭の練習と文化祭の準備に
同時に追われていた夏
放課後の教室が大好きになった夏
みんなでバーベキューをした夏
火をもらうことに必死ですぐに
終わってしまう花火をした夏
水筒の中身がお茶じゃない
特別感にドキドキした夏
花火大会に浴衣で待ち合わせした夏
朝までゲーム対戦をした夏
全部が紛れも無く夏だった
夏はすぐにいなくなるくせに
どれも一番記憶に残る
今年の夏のあれもこれも
時間が経てばキラキラするのかな



少しおかしい

好きを続けるのは難しくて時々嫌になる
いっそのこと嫌いになれれば
知らないままでいれたらよかったけど
こんなに好きになれるものを
知らないまま生活してたかもって
想像するのはもっと怖い
8月になる度に
谷川俊太郎さんのネロを読む
初めて読んだ時は
私も十八回の夏しか知らなかったのに
もう二十一回の夏を知っているし
この夏で二十二にもなる
だからといって何も変わらないけど、
蝉の声にもうだるような暑さにも
かき氷を食べた後頭が痛くなることにも
陽炎にもあまり驚かなくなった
これらは悲しいことなのかもしれない
色んなものにも人にも
大きな期待をしてしまうのに
人からの小さな期待には
すぐに耐えられなくなってしまう
何でも塗り潰せると思っていた絵の具が
クレヨンに弾かれたところを見た時
すれ違う人にも生活があると知った時
そんなことで世界は変わって見えたし
新しいワンピースに腕を通しただけで
こんなにも気持ちを強く持てるのに
それくらいのことで充分なのに
好きな人が知らないところで
これからどんどん歳をとっていく
好きなものが知らないところで
これからどんどん愛されていく
そんなことにまでいちいち
嫉妬する暇があるなら動けという感じ


留守電


夏になると必ず
去年の夏に戻りたいと思う
 来年の今頃は多分
今年の夏に戻りたいって
もしかしたら泣いているかもな
それくらい今年の夏と来年の夏は
違ってしまう、悲しいけど
誰かが頑張ってるから
誰かも辛いから頑張ろうなんて
思えない、だって関係ないもん
周りの女の子が簡単にこなす
小さいことから大きいことまでが
自分だけ出来ていない気がして
人の好意も優しさも全部
疑ってかかってしまうし
気持ち悪いとさえ思ってしまう
みんな普通に全部こなしててすごい
どうやってるのか知りたい

メアドが変だから好きじゃない
付け焼き刃の幸せ
いつも結末ばかりで嫌になる
君のオススメにおもしろいものは
ひとつもなかった
心変わりの相手は僕に決めなよ
心のこの辺りがぐじゅぐじゅするの
始発で帰ろう
レモンスカッシュ感覚
一寸先は地獄でしょ
君がいなけりゃ地獄もないけど

今日聴いた曲
新宿は今日も人が沢山いた
みんな少し休んでほしい
好きな人と同じ夏がいいけど
それもまた無理な話だ!